Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.773 caratteri · 294 schermate
「大巻のお祖父さんの絵の話は面白かったね。」
「うん。」
「あんな話、非常に僕たちのためになると思うよ。」
「うん。」
次郎には、正直のところ、話の意味がはっきりとわかっていなかった。しかし、恭一にそう言われると、何か自分に忠告でもされているような気がするのだった。恭一は独りごとのように、
「僕、教えてもらえるんなら、ほんとうに稽古をしてみようかなあ。」
「絵をかい? 大巻のお祖父さんに。」
「うん。町からだと近いんだから、僕、いつでもこれるよ。」
次郎はまた默りこんだ。恭一は、しかし、今度は少しもそれを気にしなかった。そしてしきりに、大巻のお祖父さんにもっと近づいてみたいような話をした。
別れ道に来ると、恭一は立ちどまってたずねた。
「こんどは、いつ来る?」
「わかんないや。」
恭一には、それがいかにも投げやった調子にきこえた。
「町に来るの、いやなんかい。」
「…………」
次郎は眼を伏せた。
「ねえ、次郎ちゃん――」
と恭一は次郎の肩に両手をかけて、
「負けちゃあ、つまんないよ。僕たち、大巻のお祖父さんが描いた蘭になるんだ。誰にだって負けるもんか。正しい人を憎む人があったら、その人が悪いさ。