Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.773 caratteri · 294 schermate
それから、恭一と徹太郎との間に次の問答がはじまった。
「叔父さんは、子供の時分からあの松の木を見ていたんですか。」
「うむ、見ていたとも。」
「じゃあ、その時分から岩がどのくらい動いたか、わかってるんですね。」
「どのくらい? それはわからんよ。何しろ、見たところは、私の子供のころとちっとも変っていないからね。しかし、いくらか動いたことはたしかだろう。松の木が大きくなって行くんだからね。」
「昔は、あの岩は、一つにつながっていたんでしょうね。」
「むろん、そうだろう。松の木をぬきとって両方から押しよせてみたら、今でもぴったりくっつきそうじゃないか。」
「松の木って強いもんですね。」
「うむ強い。しかし強いのは松の木ばかりではないさ。命のあるものは、何だって強いんだ。草の根でも、それがはびこると石垣を崩すことがあるんだからね。」
「ほんとうだ。」
と恭一はしばらく考えて、
「この松の木だって、もとは草みたいなものだったんですね。」
「そうだ。最初岩の割目に根をおろした時には、指先でもふみつぶせるほどの柔いものだったんだ。それがどうだ、このとおり固い岩を真二つに割って、それをじりじりと両方に押しのけている。