Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.773 caratteri · 294 schermate

Aozora Bunko

わかりにくい文句がかなり多かったが、また、彼の今の気持にぴったりする文句もちょいちょい見つかるので、吸いつけられるように、さきへさきへと眼を通して行った。

「……人に勝つ道は知らず、我に勝つ道を知りたり。……」

「……損さえすれば相手はなきものなり。……」

「……大慈悲より出ずる智勇が真のものなり。……」

「……よきことをするとは何事ぞというに、一口にいえば苦痛をこらうることなり。……」

「……わがために悪しくとも、人のためによきようにすれば、仲悪しくなることなし。……」

「……若きうちは、随分不仕合わせなるがよし。不仕合わせなるとき、くたびるる者は役に立たざるなり。……」

そうした文句は、どれもこれも、彼自身のために書かれているような気がした。とりわけ、最後の二句は悲しいまでに彼の心に響いた。彼は読み進むのに夢中だった。

「おや、もうお勉強?」

いつの間にか、お浜がうしろに立っていた。次郎がふりむくと、お浜はぴったりと彼によりそって坐りながら、

「お試験でもありますの? 今日は土曜でしょう。」

お浜の眼は何か淋しそうだった。次郎ははっとして本を閉じた。そして、いきなりお浜の膝に両手を置いて言った。