Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.773 caratteri · 294 schermate
次郎はだまりこんだ。それは、しかし、町での生活が心配だからではなかった。正木の老夫婦と、父とが、自分のために考えてくれたことを、ぶちこわしてしまうのが、何となく大へんなことのように思えて来たからである。
「そりゃあ、次郎ちゃんがどんな気持だか、この叔母さんにもよくわかるわ――」
と、お延は、あたりを憚るように声をおとして、
「誠吉のように、この家で生れてさえ、まだあんなだからね。何といったって他人だもの、そりゃあほんとうの親子のような気持にはなれないだろうともさ。だけど、あの方は、本田のお祖母さんよりか、きっと次郎ちゃんを可愛がって下さるわ。」
次郎は、お延がいくぶんかでも自分の気持に同情してくれているのが、妙に嬉しかった。
「それに――」
と、お延は、次郎の手をなでながら、
「もし次郎ちゃんが、嘘でもいいから、今日から思いきってお母さんと呼んであげたら、どんなにお喜びでしょう。あの方はね、そりゃお気の毒な方よ、ちょうど次郎ちゃんと俊ちゃんぐらいな男のお子さんがお二人あったんだけれど、お二人とも、お亡くなりになってしまったんだってさ。だから、誰かにお母さんて呼ばれてみたいのよ。