Classici giapponesi con furigana
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うたあんどん
歌行灯
泉 鏡花
Leggi 歌行灯 (うたあんどん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.094 caratteri · 72 schermate
「勝手にピイピイ吹いておれ、でんでん太鼓に笙の笛、こっちあ小児だ、なあ、阿媽。……いや、女房さん、それにしても何かね、御当処は、この桑名と云う所は、按摩の多い所かね。」と笛の音に瞳がちらつく。
「あんたもな、按摩の目は蠣や云います。名物は蛤じゃもの、別に何も、多い訳はないけれど、ここは新地なり、旅籠屋のある町やに因って、つい、あの衆が、あちこちから稼ぎに来るわな。」
「そうだ、成程新地だった。」となぜか一人で納得して、気の抜けたような片手を支く。
「お師匠さん、あんた、これからその音声を芸妓屋の門で聞かしてお見やす。ほんに、人死が出来ようも知れぬぜな。」と襟の処で、塗盆をくるりと廻す。
「飛んだ合せかがみだね、人死が出来て堪るものか。第一、芸妓屋の前へは、うっかり立てねえ。」
「なぜえ。」
「悪くすると敵に出会す。」と投首する。
「あれ、芸が身を助けると言う、……お師匠さん、あんた、芸妓ゆえの、お身の上かえ。……ほんにな、仇だすな。」
「違った! 芸者の方で、私が敵さ。」
「あれ、のけのけと、あんな憎いこと言いなさんす。」と言う処へ、月は片明りの向う側。狭い町の、ものの気勢にも暗い軒下を、からころ、からころ、駒下駄の音が、土間に浸込むように響いて来る。