Classici giapponesi con furigana
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たけだりんたろうついとう
武田麟太郎追悼
織田 作之助
Leggi 武田麟太郎追悼 (たけだりんたろうついとう) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3277 caratteri · 7 schermate
莫迦みたいに一人蒲団にもぐり込んで、ぼんやり武田さんのことを考えていた。特徴のある武田さんの笑い声を耳の奥で聴いていた、少し斜視がかったぎょろりとした武田さんの眼を、胸に泛べていた。
最も残念だったのは藤沢さんであろうと、書いたが、しかし、それよりも残念だったのは当の武田さん自身であったろう。死に切れなかったろうと思う。不死身の麟太郎といわれていた。武田さんもそれを自信していた。まさか死ぬとは思わなかったであろう。死の直前、あッしまった、こんな筈ではなかったと、われながら不思議であったろう。わけがわからなかったであろう。観念の眼を閉じて、安らかに大往生を遂げたとは思えない。思いたくない。あの面魂だ。剥いでも剥いでも、たやすく芯を見せない玉葱のような強靱さを持っていた人だ。ころっと死んだのだ。嘘のように死んだのだ。武田さんはよくデマを飛ばして喜んでいた。南方に行った頃、武田麟太郎が鰐に食われて死んだという噂がひろがった。私は本当にしなかった。武田麟太郎が鰐を食ったのなら判るが、鰐に食われるようなそんな武麟さんかねと笑った。たぶん武田さんが自分でそんなデマを飛ばし、それが大阪まで伝わって来たのではないかと思った。