Classici giapponesi con furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Leggi 武蔵野 (わすれえぬひとびと) di 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 94.018 caratteri · 192 schermate
身も魂も疲れに疲れて、いつか夢現の境に入りぬ。
林あり。流れあり。梢よりは音せぬほどの風に誘われて木の葉落ち、流れはこれを浮かべて走る。青年あり、外套の襟に頸を埋め身を縮めて眠れる、その顔は蒼白し。四辺の林もしばしはこの青年に安き眠りを借さばやと、枝頭そよがず、寂として音なし。流れには紅黄大小かずかずの木の葉、たちまち来たりたちまち去り、緩やかに回転りて急に沈むあり、舟のごとく浮かびて静かに流るるあり。この時東の空、雲すこしく綻びて梢の間より薄き日の光、青年の顔に落ちぬ、青年は夢に舟を浮かべて清き流れを下りつつあり、時はまさに春の半ばなり。左右の岸は新緑の光に輝き、仰げば梢と梢との間には大空澄みて蒼く高く、林の奥は日の光届きかねたれど、木の間木の間よりもるる光はさまざまの花を染め出だし、涼しき風の枝より枝にわたるごとに青き光と黒き影は幾千万となき珠玉の入り乱れたらんごとく、岸に近き桜よりは幾千の胡蝶一時に梢を放れ、高く飛び、低く舞う。流れの淀むところは陰暗く、岩を回れば光景瞬間に変じ、河幅急に広まりぬ。底は一面の白砂に水紋落ちて綾をなし、両岸は緑野低く春草煙り、森林遠くこれを囲みたり。