Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しとはなししたひと

死と話した人

小川 未明

Leggi 死と話した人 (しとはなししたひと) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 2429 caratteri · 5 schermate

Aozora Bunko

ちょうど、そのとき、おばあさんが、顔を上げました。あっと、彼は、驚いた。なぜなら、二つの目は、魚のうろこを張ったように、白く、瞳がなく、まったくの盲目であったのです。

「死だ! 死だ!」

こう叫んで、彼は、丘を駆け下りました。

*   *   *   *   *

寒い夜のことです。

明るい燈火の下で、Aは、細君と話をしていました。二人の家庭は、むつまじく、そして、平和でありました。それにつけて、Aの友だちの死は、いっそう、考えさせられたのです。

「ほんとうに、あの方は、快活な、陰気なことの大きらいのお方でしたわ。それに、日ごろあんなに健康そうに見えましたのに……人間の命というものは、わからんものですわね。」と、細君はいいました。

「ほんとうに、あの男が、急に死のうなどとだれも思うまいよ。彼自身だって思わなかったにちがいない。これをみても、こうして、無事に、一日が送られるということは、幸福なことだよ。」と、Aは答えました。

「もし、死ということがなかったら、人生は、どんなに幸福でしょう?」

「それは、そうでない。死があってこそ生ということがあるのだ。