Classici giapponesi con furigana
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しけいのまえ
死刑の前
幸徳 秋水
Leggi 死刑の前 (しけいのまえ) di 幸徳 秋水 (こうとくしゅうすい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.243 caratteri · 23 schermate
いわんや、多数の権力なき人、富なき人、よわき人、おろかなる人をやである。彼らは、たいてい栄養の不足や、過度の労働や、汚穢なる住居や、有毒なる空気や、激甚なる寒暑や、さては精神過多等の不自然な原因から誘致した病気のために、その天寿の半ばにも達せずして、紛々として死に失せるのである。ひとり病気のみでない。彼らは、餓死する。凍死もする。溺死する。焚死する。震死する。轢死する。工場の機械にまきこまれて死ぬる。鉱坑のガスで窒息して死ぬる。私欲のために謀殺される。窮迫のために自殺する。今の人間の命の火は、油がつきて滅するのでなくて、みな烈風に吹き消されるのである。わたくしは、いま手もとに統計をもたないけれど、病死以外の不慮の横死のみでも、年々幾万にのぼるか知れないのである。
鰯が鯨の餌食となり、雀が鷹の餌食となり、羊が狼の餌食となる動物の世界から進化して、まだ幾万年しかへていない人間社会にあって、つねに弱肉強食の修羅場を演じ、多数の弱者が直接・間接に生存競争の犠牲となるのは、目下のところやむをえぬ現象で、天寿をまっとうして死ぬというねがいは、無理ならぬようで、その実、はなはだ無理である。