Classici giapponesi con furigana
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しけいのまえ
死刑の前
幸徳 秋水
Leggi 死刑の前 (しけいのまえ) di 幸徳 秋水 (こうとくしゅうすい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.243 caratteri · 23 schermate
果実をむすばんがためには、花はよろこんで散るのである。その児の生育のためには、母はたのしんでその心血をしぼるのである。年少の者が、かくして自己のために死に抗するのも自然である。長じて、種のために生をかろんずるにいたるのも、自然である。これは、矛盾ではなくして、正当の順序である。人間の本能は、かならずしも正当・自然の死を恐怖するものではない。彼らは、みなこの運命を甘受すべき準備をなしている。
故に、人間の死ぬのは、もはや問題ではない。問題は、実に、いつ、いかにして死ぬかにある。むしろ、その死にいたるまでに、いかなる生をうけ、かつ送ったかにあらねばならない。
三
いやしくも、狂愚にあらざる以上、なんびとも永遠・無窮に生きたいとはいわぬ。しかも、死ぬなら天寿をまっとうして死にたいというのが、万人の望みであろう。一応は無理からぬことである。
されど、天命の寿命をまっとうして、疾病もなく、負傷もせず、老衰の極、油つきて火の滅するごとく、自然に死に帰すということは、その実はなはだ困難のことである。なんとなれば、これがためには、すべての疾病をふせぎ、すべての災禍をさけるべき完全な注意と方法と設備とを要するからである。