Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ししゃのしょ

死者の書

折口 信夫

Leggi 死者の書 (ししゃのしょ) di 折口 信夫 (おりくちしのぶ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 62.340 caratteri · 126 schermate

Aozora Bunko

あの音がしてる。昔の音が――。

手にとるようだ。目に見るようだ。心を鎮めて――。鎮めて。でないと、この考えが、復散らかって行ってしまう。おれの昔が、ありありと訣って来た。だが待てよ。……其にしても一体、ここに居るおれは、だれなのだ。だれの子なのだ。だれの夫なのだ。其をおれは、忘れてしまっているのだ。

両の臂は、頸の廻り、胸の上、腰から膝をまさぐって居る。そうしてまるで、生き物のするような、深い溜め息が洩れて出た。

大変だ。おれの著物は、もうすっかり朽って居る。おれの褌は、ほこりになって飛んで行った。どうしろ、と言うのだ。此おれは、著物もなしに、寝て居るのだ。

筋ばしるように、彼の人のからだに、血の馳け廻るに似たものが、過ぎた。肱を支えて、上半身が闇の中に起き上った。

おお寒い。おれを、どうしろと仰るのだ。尊いおっかさま。おれが悪かったと言うのなら、あやまります。著物を下さい。著物を――。おれのからだは、地べたに凍りついてしまいます。

彼の人には、声であった。だが、声でないものとして、消えてしまった。声でない語が、何時までも続いている。

くれろ。おっかさま。著物がなくなった。