Classici giapponesi con furigana
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ぼしじょじょう
母子叙情
岡本 かの子
Leggi 母子叙情 (ぼしじょじょう) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 77.355 caratteri · 153 schermate
巴里ではどんなに早くても三月はかかります」
K・S氏はむしろ呆れながら、歓びにわくわくして云った。何度も何度も礼を云った。
ホテルの一室で、立続けに電話をかけたり、紹介の文案を書いたり、訪問記者と折衝したりして、深い疲労と、極度な喫煙で、どろんとした顔付きになっている逸作は、強いて事もなげに言った。
「いや、お気遣いなさるな。あなた方はむす子の友人です」それから沈痛な唇の引き締め方をして、また事務に取りかかった。
かの女は、今こそこの父はむす子の幼時に負うた不情の罪を贖う決心でいるのだと思った。ときどき眼を瞑って頭を軽く振っているのは、出そうになる涙を強情に振り戻しているのではあるまいか、それとも脳貧血を起しかけて眩暈でもするのではあるまいか。父はあまりによき父になり過ぎた。
「パパ。少し翻訳を代りましょうか。休んで下さい」
すると、逸作は珍しく瞳の焦点をかの女の瞳に熱く見合せて云った。
「僕が満足するまでやらせろ」
かの女と逸作は、星ヶ岡の茶寮を出て、K・S氏夫妻と共に、今日で終りの展覧会場へ寄ってみようと、ぶらぶら虎の門まで歩いて来た。春もやや準備が出来たといった工合に、和やかなものが、晴れた空にも、建物を包む丘の茂みにも含みかけていた。