Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もうりせんせい

毛利先生

芥川 竜之介

Leggi 毛利先生 (もうりせんせい) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.383 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

この景色を見た自分たちは、さすがに皆一種の羞恥を感じて、しばらくの間はひっそりと、賑な笑い声を絶ってしまった。が、その中で丹波先生だけは、ただ、口を噤むべく余りに恐縮と狼狽とを重ねたからでもあったろう。「あの帽子が古物だぜ」と、云いかけた舌をちょいと出して、素早く運動帽をかぶったと思うと、突然くるりと向きを変えて、「一――」と大きく喚きながら、チョッキ一つの肥った体を、やにわに鉄棒へ抛りつけた。そうして「海老上り」の両足を遠く空ざまに伸しながら、「二――」と再び喚いた時には、もう冬の青空を鮮に切りぬいて、楽々とその上に上っていた。この丹波先生の滑稽なてれ隠しが、自分たち一同を失笑させたのは無理もない。一瞬間声を呑んだ機械体操場の生徒たちは、鉄棒の上の丹波先生を仰ぎながら、まるで野球の応援でもする時のように、わっと囃し立てながら、拍手をした。

こう云う自分も皆と一しょに、喝采をしたのは勿論である。が、喝采している内に、自分は鉄棒の上の丹波先生を、半ば本能的に憎み出した。と云ってもそれだけまた、毛利先生に同情を注いだと云う訳でもない。その証拠にはその時自分が、丹波先生へ浴びせた拍手は、同時に毛利先生へ、自分たちの悪意を示そうと云う、間接目的を含んでいたからである。