Classici giapponesi con furigana
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もうりせんせい
毛利先生
Leggi 毛利先生 (もうりせんせい) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.383 caratteri · 25 schermate
もし生れながらの教育家と云うものがあるとしたら、先生は実にそれであろう。先生にとって英語を教えると云う事は、空気を呼吸すると云う事と共に、寸刻といえども止める事は出来ない。もし強いて止めさせれば、丁度水分を失った植物か何かのように、先生の旺盛な活力も即座に萎微してしまうのであろう。だから先生は夜毎に英語を教えると云うその興味に促されて、わざわざ独りこのカッフェへ一杯の珈琲を啜りに来る。勿論それはあの給仕頭などに、暇つぶしを以て目さるべき悠長な性質のものではない。まして昔、自分たちが、先生の誠意を疑って、生活のためと嘲ったのも、今となっては心から赤面のほかはない誤謬であった。思えばこの暇つぶしと云い生活のためと云う、世間の俗悪な解釈のために、我毛利先生はどんなにか苦しんだ事であろう。元よりそう云う苦しみの中にも、先生は絶えず悠然たる態度を示しながら、あの紫の襟飾とあの山高帽とに身を固めて、ドン・キホオテよりも勇ましく、不退転の訳読を続けて行った。しかし先生の眼の中には、それでもなお時として、先生の教授を受ける生徒たちの――恐らくは先生が面しているこの世間全体の――同情を哀願する閃きが、傷ましくも宿っていたではないか。