Classici giapponesi con furigana
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みとばいふ
水戸梅譜
山本 周五郎
Leggi 水戸梅譜 (みとばいふ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.607 caratteri · 25 schermate
……日を重ねて、行列は水戸領へはいった、そして今日はいよいよ城下へ着くというとき、供尻のほうでなにか騒ぎがおこった。光圀は馬を駆っていたが、ふりかえってみると、行列のうしろがわらわらと崩れたって、供の人数がなにかを追いつめているようすだった。
「なにごとだ、誰ぞみてまいれ」そう云って光圀は馬を進めた。
供尻ではあのふしぎな男を捕えようとしたのであった。若い者たちが相談して、相手に気付かれないようにひと組がうしろへまわり、よき折をみて挾みうちにしようとしたのである。そこは宿あいで人家もなく、左がわに松のある丘がのび、右がわがうちわたす冬の田だった。そのさむらいは気をゆるしているようすで荷駄のうしろ四五十歩のところをあるいていた。あとから跟けて来た四人の供は、よしとみて合図の叫びをあげながら追い迫った。同時に供尻からも五六人の者がひっ返し、前後からひっしと挾んだのである。
そのさむらいは不意をつかれ、ちょっと狼狽したようだったが、挾まれたとみたとたんに、非常なすばやさで左がわの丘へとびあがった、うしろから追い詰めたひとりが、つぶてのようにその背へとびかかったけれど、掴んだ編笠が手に残っただけだった、とても人間わざとは思えない敏捷さである。