Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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すいめんにうかんだおんな

水面に浮んだ女

田中 貢太郎

Leggi 水面に浮んだ女 (すいめんにうかんだおんな) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4721 caratteri · 10 schermate

Aozora Bunko

外から帰って来た平兵衛は、台所の方で何かやっていた妻を傍へ呼んだ。女は水で濡れた手を前掛で拭き拭きあがって来た。

「すこし、お前に、話したいことがある」

女は何事であろうと思って、夫の顔色を伺いながらその前へ坐った。

「この加賀へやって来たものの、どうも思わしい仕官の口がないから、私は土州の方へ往こうと思う、土州には、深尾主人殿が、山内家の家老をしておるし、主人殿なら、私の人為も好く知っておってくれるから、何とか好いことがあるかも知れん、私はこの四五日前から、そのことを考えておったが、その方が好いように思われるから、いよいよ往くことに決心した」

「それは、私も時どき思わんこともありません、深尾殿なら、貴方のこともよく御存じでございますから、ここのようではありますまい」

「そうだ、私も、今日帰る路で、決心したから、出発しようと思う、就ては不自由であろうが、私が土州へ往て、身の振方がつくまで、辛抱していてくれ、土州へ往て、身の振方の着き次第、迎いに来るなり、使をよこすなりする」

「どんな不自由なことがありましても、貴方の出世でございますから、きっとお留守を守っております、これと云うのも中納言様が、貴方のお詞をお用いにならずに、治部殿の味方をなされたからでございます」