Classici giapponesi con furigana
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みずとりてい
水鳥亭
Leggi 水鳥亭 (みずとりてい) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.705 caratteri · 62 schermate
それはお前が軽蔑しているものよりも、もっと軽蔑すべきことだと思わないかね」
それに対して、克子はまずこう答える。
「ツバがとぶわね。食物に」
それからゆっくりと、ゴミをすてるように、火のない火鉢の中へイワシを投げすてる。
「これ待ちなさい!」
父は娘の腕をつかむ。もしくは、つかもうとする。そして叫ぶ。
「今さらゴミよりも軽蔑した手ツキでイワシを投げすててみせても、今まで食べていた意地汚さを打ち消す力にはならないのだよ。むしろ今までの意地汚さを自分で軽蔑したことになるのだ」
克子は顔の血の気をまったく失って立上る。お弁当をとりあげる。彼女はこれから徴用の仕事場へでかけるところだ。
克子は膝の上でお弁当をひらいて、オカズの一匹のイワシをつまみあげて、流しへ抛りだす。一すじの涙がながれ、やがてかすかにシャクリあげるが、クチビルをかみしめて身支度をととのえなおす。
「克子をいじめて、おたのしいのですか」
信子のカン高い叫びが彼を突きさす。
彼は無言である。
「克子を泣かせて、縁起でもない。これから徴用の職場へ出勤という克子を。女子の徴用は男子の出征と同じですよ。一匹のイワシを食べるぐらいが、何様を軽蔑することになるんですって! 私だってイワシよりも棺桶屋を軽蔑しますよ。