Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みずとりてい

水鳥亭

坂口 安吾

Leggi 水鳥亭 (みずとりてい) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.705 caratteri · 62 schermate

Aozora Bunko

亮作は泣きそうな顔に微笑をうかべた。

「いえ、いいんです。私は疎開は考えません。一億玉砕の肚ですから。最後の御奉公ですよ。それに、日本は、負けやしません。最後には勝つのです。何年先か分りませんがね。そのとき私の残した本が、まア、いくらか、お役に立つでしょう。私はそれだけで満足です。ほかに思い残すこともありません」

「梅村さん。戦争は何百万の雷をあつめたように、容赦しませんよ。小さな負け惜しみや、小さな意地をはってみたって、なんにもなりゃしませんよ」

「いえ、なります。時間の問題ですから。軍は秘密兵器を完成しています。敵が図にのって、総攻撃に来たときに、奥の手を用いて一挙に勝利へみちびく。これが軍の既定の作戦なんです」

亮作は口に泡をためて無数にツバをふきながら言う。野口は微笑しながら、それを見つめた。ひどく感服したように。

「フトン、衣類、鍋釜でしたら、鶏小屋へ保管してあげます。まア、せいぜい、分散しておくことですよ。必需品ですから。そして、書籍などは、値のあるうちに、売り払いなさい。もっとも、タキツケの役に立つときが来るかも知れませんがね」

「ええ、まア、タキツケには、なりますね。