Classici giapponesi con furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Leggi 江戸情話集 (かごつるべ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.779 caratteri · 407 schermate
兵庫に結った首は斜に飛んで、つづいて登ろうとする浮橋の足もとに転げ落ちた。浮橋も女房も、はっと立ちすくんだままで声も出なかった。
丁度そこへ次郎左衛門を迎いの駕籠が来た。駕籠屋がおどろいて口々にわめいた。近所の者も駈けて来た。
「逃げ隠れする者でない。次郎左衛門はここで切腹する。見とどけてくれ」と、次郎左衛門は二階から叫んだ。しかし彼が最後の要求は誰にも肯き入れられなかった。
「人殺しだ、人殺しだ。逃がすな、縛れ」
立花屋の店先には人の垣を築いた。聞き分けのない奴らだと次郎左衛門は憤った。卑怯に逃げ隠れをするのでない。ここで尋常に自滅するというものを、無理無体に引っくくって生き恥をさらさせようとする。それならばこっちにも料簡がある。最後の邪魔をする奴は片っ端から切りまくって、一旦はここを落ち延びて、人の見ないところで心静かに籠釣瓶を抱いて死のうと、彼は八橋を切った刀の血糊をなめて、階子の上がり口に仁王立ちに突っ立って敵を待っていた。くるわの火消しがまっさきに駈けあがったが、その一人は左の肩を切られて転げ落ちた。つづいて上がろうとした一人も、手鳶を柄から斜めに切られて、余った切っ先きで小手を傷つけられた。