Classici giapponesi con furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Leggi 江戸情話集 (かごつるべ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.779 caratteri · 407 schermate
もうどうすることも出来ない。
藤枝の家はつぶされたも同然である。甥の身の上は自業自得の因果で是非ないとしても、自分の宗家たる藤枝の家をこのまま亡ぼしてしまっては、先祖に対しても申し訳がない、死んだ兄に対しても申し訳がない。五郎三郎は二日ほども胸を痛めた末に、思えばむごい、しかしこの時代の武士としてはまことにやむを得ない或る非常手段を考え出した。
彼は外記を自滅させようと覚悟した。表向きは頓死と披露して、妹のお縫に相当の婿を取れば、藤枝の家にも瑕が付かず、親類縁者一同も世間に恥をさらさずに済むであろう。殺される甥は不憫であるが、家には替えられない、親類縁者の大勢には替えられないと、こう決心した五郎三郎の眼からは煮え湯のような涙がこぼれた。鬼のような自分の心が情けなくも思われた。
きょうは盂蘭盆というので、五郎三郎は赤坂の菩提寺に参詣した。墓場には昼でも虫が鳴いていた。彼は先祖代々の墓に香花や水をたむけて、苔の蒸した石にむかって甥を殺す余儀ない事情を訴えて、その足ですぐに番町へ廻って来たのである。彼は初めに甥を説得して詰め腹を切らせようかとも考えたが、もし不承知で四の五のいうと却って面倒である。