Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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けっとうじょう

決闘場

岡本 かの子

Leggi 決闘場 (けっとうじょう) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.298 caratteri · 23 schermate

Aozora Bunko

此の決闘の原因が自分にあることを彼女は勿論知って居た。が、彼女は強いて責任を感じまいと努めた。強いて無関心で居たかった。醜く腫れ上り更に鼻血や脂汗で泥土のように汚ごした顔を、疼痛と憤怒と息切れでもみくちゃにひんまげた男達は、最早や彼女の友達ではない。勿論恋人に出来そうもなかった。撹き乱された髪、充血に腐った眼、よじれ果てた服、痙攣して居る四肢、そんな男達は、彼女にとって他人であった。乞食の喧嘩だった。獣の噛み合いであった。今にも死が覗きそうであった。

彼女は一刻も早く此の場を遁れたかった。が彼女の体がまだ其の場にくっついて居た。彼女は焦れた。でも次第次第に彼女は決闘場から後じさりに離れて行った。そっと忍び出る小娘のようにおどおどしながら。彼女は灌木が大きな茸のように生え群がる間を抜けて、鬱蒼とした雑木林の中に潜入した。出た処はケンウッドの森の一寸した突出部であった。小鳥の巣が雑木の梢に沢山在るらしく色々の鳴鳥が、勝手に自我を主張して鳴いて居た。一帯に青臭い草や樹の葉のいきれが満ちて、其の中に這入って行く者を重苦しく落ち付かせた。アイリスは大分深く潜入して居た。