Classici giapponesi con furigana
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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
Leggi 沙漠の古都 (さばくのこと) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 110.076 caratteri · 220 schermate
二本の櫂も……
それは天気のよい朝であったが、焼き肉を荷車にウンと積み込み筏をその上に引き冠ぶせ、筏の上へは私が乗って、一匹の人猿に車を押させて二度目の旅へ出発した。
人猿は四方から集まって来てひしひしと荷車を取り囲み胡散臭い眼付きで私を見た。その時私は一掴みの焼き肉を後方目掛けて投げつけた。これと同時に人猿の群から鋭い叫び声が湧き起こり、続いて格闘が始まった。落ちて来た焼き肉を拾おうとして互いに争っているのである。元来彼らは食物については仲間同志争った例がない。それは彼らの世界とも云うべきこの広大なる原始林の中に無尽蔵に食物があるからであって、彼らは自分の要求に応じて何んでも自由に得ることが出来た。自然競争の必要もなく格闘することもなかったのである。それだのに一度私が現われこれまで一度も味わったことのない、不思議な食物――焼き肉が、私の手によって投げられた。しかもその肉はきわめて美味でその上制限されていて無尽蔵に食うことは出来ないのである。だからどうしても必然的に食物競争が行われる。そこが私の付け目であって、彼らが競争しているうちに荷車を前方へ進めるのであった。