Classici giapponesi con furigana
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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
Leggi 沙漠の古都 (さばくのこと) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 110.076 caratteri · 220 schermate
何故飛びかかって行かなかったのか? 手箱を貰った恩義のためか? いいや決してそうではない。総統の威厳に打たれたからか? 何んの何んのその反対だ! 私は全く袁世凱の寂しい姿に打たれたのであった。
……私は手箱を取り上げた。鉄で造られた粗末な手箱! 私は月光に照らして見た。何んの奇もなく変もないけれども、ほんとに奇もなく変もないこの貧弱の手箱から私の運命を左右するような世にも奇怪な羊皮紙が忽然として出て来ようとは……
果然、その夜から間もないある日、袁世凱の突然の死が、世界中の新聞に発表されて世の中の人を駭かせた。あまり突然であったため、世人は死因に疑いを抱き暗殺ではなかろうかと噂した。暗殺か自殺か自然の死か私だけには解っていた。彼は寂しさに堪えられず寂しさに食われて死んだのだ。
その後私はどうしたかというに、孫文先生の旗下を離れ一旦自家へ立ち帰って妹や婆やと邂逅した。それから再び家を出て世界の旅へ上ったのである。旅へ出かけた目的は? 恐らく私が説明しても誰も信用しないだろう。余りに荒唐な話しだから。つまり私は手箱の中の羊皮紙に書いてある文字を手頼りに雌雄二つの水晶の球を探し当てようそのために世界の旅へ上ったのである。