Classici giapponesi con furigana
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Leggi 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 178.609 caratteri · 362 schermate
おれの仕事は日本流で行くんだ」
「こいつ、あきれ返った無智なやつだ。じゃどうしても、藩の指導にも従わず、また仕事も洋法によらんというのだな」
「ほかの者がやるだろう。あっしゃ御免だ」
「松代藩には、西洋火術の大家、佐久間先生がおられるのだぞ」
「戸狩村にゃ、七がいるぜ」
「な、なまいきな広言を! こんな山村に伝わっている法は、もう時勢遅れだわえ」
「じゃ、きこう」
「何だ?」
「洋法でやれや、赤でも出せるだろうか」
「火色のことか」
「そうよ!」
「ば、ばかめ。気が狂っているな貴様は。どこの国の煙火に赤色があるか! うすい樺色は出る。だが、真紅は出せない! それはあたりまえのことだ」
「ところが、おれの腕からは赤が出せる。しかも、血のように真っ赤なんだぜ! 紫も出るんだ! ふしぎじゃねえか、洋学なんて、甘えもんさ」
と、七は優越を信じるようにセセラ笑った。
ここで説明せねば分らぬが、七がたんかを吐いたように、昔の花火には、赤はなかった。うすい樺色に似た光は出たが、現今のような真っ赤な光彩は夢にも見られなかった。日本の花火に、鮮麗な赤色光が一般に見られ出したのは、明治八年に洋行して大火傷を負って帰朝した両国の鍵屋弥兵衛が齎した研究の後である。