Classici giapponesi con furigana
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Leggi 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 178.609 caratteri · 362 schermate
四
と、縮布屋は、笠の裏を返して、読み直しながら、
「お前は、そうして順礼姿、わしは、縮布屋の丈八と身なりまで変えて、こうして相手の一角を狙けているなんていう事は、旅先で、知ってる者はない筈だが? ……」
ぽつと、雨が、顔に触った。
「オオ」と、丈八は、落着かない眼を空に、
「今、普請場できいた話には、その一角は、たった今ほど、宇都宮の方へ行ったというのだ。――お前は女の足、わしと一緒には、駈けきれまいし、といって、ここで一歩の差は、百里の差になる。……ああ困ったな」
と、焦心り顔に、つぶやいた。
すると、さっきから、森の薄暗がりに、黙然と腕を拱みあわせて、こっちをながめていた繭買の銀六老人が、のそ、のそ、と歩いて来ながら、
「丈八さん、お信どのは、わしが預っておる。そんな事に、気をひかれずに、早く相手を追ッて行きなさい」
四
「やっ、御老人」
と、丈八はびっくりして、
「あなたは、米沢の裏町にいた――」
「まあ、そんな事は、どうでもよい。実は、貴公たちが、発足して後、わしも江戸の親戚に急用が出来てな」
「もしや、ゆうべのお報らせは」
「実は、おせっかいだが、わしの教えた事だ。