Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Leggi 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 178.609 caratteri · 362 schermate
――なるほど死ぬその日まで、人間には、面白いこともあるものだと感じた。
晩の八刻になると、老牢番、蔵六が、どんよりした顔を持って、勤務に出てきた。
牢格子を隔てて、ちら、と見合ったが、眼と眼だけで、時刻を待った。
待ちかねた夜半が来た。
コツ、コツ、コツ……
啄木鳥みたいに、蔵六が、牢を指でたたいた。雲霧は這いよって、
「うぬッ、恩を仇で」
と、睨んだ。
再吟味のあったことを聞いていた蔵六は、あわてて、かぶりを振って、
「門違いだ。親分、おめえが、間違えたんだ」
「そんな理はない。たしかに、溝川の土橋から七軒目の窓へ」
「いや、いい忘れたが、その土橋が二つある。わしの家は、原ッぱの西側だ」
「ははあ、そうか。――だが、あの御船蔵の卯平にも、恩がある。間違いにしても、まあよかった」
「でも、届けられてしまっては」
「うんにゃ、こっちの気持は運んだというものだ。――おやじどん、落胆しねえがいい。今夜あ間違いなく、おめえの家へ、抛り込んでやる」
蔵六は、ゆうべで、もうすっかり彼を信用していた。顫えずに、牢の錠を開けて、
「だが、親分。おめえさんの名は、大したもんだ。家の餓鬼を初め、どこの町を歩いても、腕白どもが、遊びといや、みんな、雲霧ごっこだといって、騒いでいやがる」