Classici giapponesi con furigana
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Leggi 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 178.609 caratteri · 362 schermate
ね、治郎さん」
「おめえは、まだ俺に、懲りねえのか」
「どんな苦労をしてもいい」
「なるほどなあ、おめえにもいい所がある。それは、いつ捨てても、大して、悪い気がしねえことだ。きっと、俺はまた、おめえを捨てるぜ」
「見捨てないで下さいよう、見捨てないで……」
そういいながら、お仙は、治郎吉に解かれた縄をふり払って、物干しから、屋根へ、怖さも忘れて這い出したけれど、裏口はもう真っ赤に染まるほど、御用提灯が埋もっていた。
「あっ、治郎吉さん」
と、座敷を駈けぬけて、表窓を開けてみたけれど、治郎吉のすがたは、そこにも見えなかった。
太左衛門橋も、河の中も、ただ灯である、軽装した捕方の影ばかりである。