Classici giapponesi con furigana
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じろきちこうし
治郎吉格子 名作短編集(一)
吉川 英治
Leggi 治郎吉格子 名作短編集(一) (じろきちこうし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 178.609 caratteri · 362 schermate
また、百助をここで怒らせてしまっては、無論久米一の御用窯には火を入れないと頑張るに違いない。ところが、久米一ほどの名人の火入れする窯焚きはそうザラにあるものでなく、大川内、伊万里、有田、三地を通じてみても、今度の献上陶器の火入れは、どうしても百助でなければ納まりがつかない。
この困難が一つ。
そのいずれを欠いても、こんどの大事な製作ができないわけ、頼母が狼狽したのは無理ではなかった。
しかし、百助の方は、すべて莫大な金ずくで我慢させた。
いやいやながら久米一に詫びを入れその日に、いよいよ焼くとなった増長天王の像をうけ取った。みると、さすがに倫を絶したでき栄である。いかなる遺恨も、憤怒も、久米一の芸術の前には、自ら頭を下げずにいられなかった。
その受け渡しがすむと。
もう代官所の方では、すっかり手配ができていた。
「それっ」とばかり、久米一の細工邸へ、捕手の者を乱入させた。
何の苦もなく、久米一は直ちに縄を打たれてひきだされてきた。だが、その姿を一目見た役人や山の者は、一瞬に平常の彼にもっていた憎念を忘れて涙ぐんだ。
一心の芸術は、こうも人の精血を吸ってしまうものだろうか。