Classici giapponesi con furigana
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なきむしこぞう
泣虫小僧
林 芙美子
Leggi 泣虫小僧 (なきむしこぞう) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 34.906 caratteri · 70 schermate
ま、兎に角、俺の留守には、支那蕎麦の十杯も食べて呑気に待っていなさい。ええ?」
勘三が元気よく、往来へ出て行くと、寛子は落ちつきのない容子で、鏡台の前に坐った。化粧水も髪油もとうの昔に空っぽだ。ああ早く三百円にお目にかかってあれもこれも……ねえ伸ちゃんといいたい気持ちで、寛子が振り返ると、啓吉も伸一郎も、裏の貧弱な椹の垣根の下で、盛んに泥をこねかえしている。
「伸ちゃん! あんまり、ばばっちいことしちゃ駄目よッ」
玄関を開け拡げておくと、小さい鏡の中へまで、路地の上の空が写って見える。――啓吉が女の子だったら、女中がわりにでも置いてやるのだけれど、……何にしても三百円は大金だ。寛子は油気のないばさばさした髪に櫛をとおしながら、昨夜持って帰った、女持ちの青いハンドバッグが気にかかって仕方がなかった。
「一寸見せてよ」
と言ったら、周章ててしまいこんでしまったけれど……寛子は思い出したように急に立ちあがると、泥いじりしている啓吉へ、
「啓ちゃん、一寸お出で、一寸でいいの……」
と、裏口から啓吉を呼びたてた。
十三
星の奇麗な晩で、頭の芯が痛くなる程、啓吉は二階からあおむいて空を眺めた。