Classici giapponesi con furigana
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なきむしこぞう
泣虫小僧
林 芙美子
Leggi 泣虫小僧 (なきむしこぞう) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 34.906 caratteri · 70 schermate
「まア、いいわ、放っときよ……」
貞子は、男にそう言われると、渋々奥へ這入って行ったが、礼子だけは、
「兄ちゃん、泣かなくてもいいよ」
と大きな下駄をはいて、啓吉のそばへしゃがんだ。啓吉はうるさいよといった格好で睨みつけた。
「莫迦野郎!」
啓吉がそっと礼子の身体を押した。両手に五銭玉を一つずつ握っていた礼子は、ぐらぐらする拍子に、その五銭玉二ツを三和土の上へ投げ散らした。
啓吉はそれを足で蹴った。
「厭よッ! 厭だアよッてば……」
礼子が立ちあがって頬をしかめそうになると、啓吉は、矢庭にその五銭白銅を拾って、がらがらと格子を開けて戸外へ出て行った。
「兄ちゃアん! 莫迦ヤロッ!」
礼子が地団駄を踏んで啓吉よりも高い声をあげて泣きたてた。
十九
どっかで野球でもしているのか、カアンと球を打つ空鳴りがしている。啓吉は久し振りにランドセールを肩にして勇んで歩いた。
校門をくぐると、校庭の蔓薔薇などは虫食いだらけの裸になってしまって、木という木はおおかた葉を振り落していた。
ピアノの音が聴えてくる。教室に這入ると、女の子達はてんでに宿題のリヤ王物語を読んでいた。