Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なきむしこぞう

泣虫小僧

林 芙美子

Leggi 泣虫小僧 (なきむしこぞう) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 34.906 caratteri · 70 schermate

Aozora Bunko

一ツを捻ってみた。声が柔かくなった。真中のスイッチを捻ってみた。80だの90だのと数字が変って行く度に、声に波がついた。啓吉は面白くてたまらなかった。最後に残ったスイッチを捻ると声がはたと止んだ。啓吉は周章てて、そのスイッチを返し一番初めに捻ったスイッチを巻いて見たが、自分で愕く程な、大きな濁音だらけで、啓吉には手のほどこしようもない。狼狽の面持ちで、三つのスイッチを、あっちこっち捻ってみたが、音は出鱈目で、店の中から、吃驚したような声をたてて、

「馬鹿野郎!」と、頭の禿げた電気屋が飛び出して来た。

啓吉は横町へ隠れたが、電気屋はまだ追っかけて来た。啓吉は、たまらなくなって、叔父達のいる喫茶店の中へ飛び込んで行った。

勘三は頬杖をついていたが、啓吉がランドセールを背負った格好で飛び込んで来たので、驚いて立ちあがった。

「どうしたンだ? 叔母さんと来たのかい?」

「いいや……」

「どうしたンだ?」

「ラジオ屋で悪戯して叱られたンだよ」

「――どうしてこンなとこへ来たンだ?」

「駅んとこで、めっけたから、呼んだンだけど判らなかったンだよ……待ってたの……」

「そいで、ラジオ屋冷やかしてたンだな」