Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
つがるのむしのす
津軽の虫の巣
宮本 百合子
Leggi 津軽の虫の巣 (つがるのむしのす) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5198 caratteri · 10 schermate
今度も、江戸表から、久しぶりに帰城する矩広を乗せて、二艘の船は悠々(ゆうゆう)と晴天の下に浮んだのである。
御手船が見えたという報告は、今まで深い眠りに入っていたような城下を、一時にハッと目醒ました。
急に騒然と人気立った要所要所にやがて一刻も過ぎた頃、船は恙(つつが)なく定めの船泊りに着いたのである。
海上無事を知らせる合図の篝(かがり)が、傾きかけた大空を画って、白上峠の頂上から華々しく燃え上った。
すると、暫らくの間を置いて、それに応える「清八」の狼煙(のろし)が、南部三馬屋から仄かに立ち昇る。
美くしい火の応答が、燦(きら)めく海を隔てて取り交わされる間に、一行は威儀堂々と、上の奥の城へその長い行列を大々しく繰り込むのである。
かようにして、御帰城になる殿様と奥に戻って来る江戸の風聞は、留守居の者共に絶大の期待を与えているのは、言わずもがなのことである。
直接国政とは何の関係も無いいわゆる「女子供」は勿論、正直に言わすれば若士の大多数にとっても、当時彼等の憧憬の的である江戸の土産は、重大な価値を持っている。
まして世は、繁栄はこれが頂上で有ろうという元禄である。