Classici giapponesi con furigana
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うみにいくるひとびと
海に生くる人々
葉山 嘉樹
Leggi 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) di 葉山 嘉樹 (はやまよしき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 161.305 caratteri · 321 schermate
そして、小林という、そのボーレンへ、のこのこ上がって行った。
ボーレンのおやじは、笊のような彼の唯一の財産なるサンパンに、チャンス取りに泊まってる宿料なしの水夫を船頭にして、沖へとチャンスを取りに出かけた留守であった。
おばさんはいた。下手な田舎芝居の女形を思わせる色の黒い、やせたヒョロヒョロの、南瓜のしなびた花のような、女郎上がりのおばさんだった。一口にいえば「サンマ」のおばさんだった。このおばさんはいた。
このおばさんはおやじのおかみさんではなかった。おやじの世話で船に乗って、今外国船に乗って、ここ四年ほど前ハンブルグから、近いうちに帰るという手紙と、金二百円とを送ってよこした水夫の、おかみさんだった。
そのおかみさんが、今帰るか、今帰るかと待ってるうちに、二百円と一年とが消えてなくなってしまった。そこで、三年ばかり前から、やもめの、ここのおやじのところへ、飯たきに来て、亭主の帰るのを「網を張って」待ってるのであった。
「まあ、三上さんだったわね。どうしたの、いついらしったの?」
三上が、のっそりはいったのを見たおばさんは、長火鉢の前に吸いかけの長煙管を置いて、くるりと入り口の方を振りかえって、そういった。