Classici giapponesi con furigana
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うみのまぼろし
海のまぼろし
小川 未明
Leggi 海のまぼろし (うみのまぼろし) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 1642 caratteri · 4 schermate
彼女は、顔を赤くして、指輪をぬくと、海の中へ投げてしまいました。
「これで、いいのですか。」
かれらは朗らかに笑いました。内気の娘は、その後も、浜辺にきて、じっと沖の方をながめて、いまだに帰ってこない、若者の身の上を案じていました。しかし、何人も、彼女の苦しい胸のうちを知るものがなかったのです。北国の三月は、まだ雪や、あられが降って、雲行きが険しかったのであります。あわれな娘の兄は、こうした寒い日にも、生活のために、沖へ出て漁をしていました。ちらちらと、横なぐりに、雪は、波の上に落ちると、たちまち消えてしまいました。ふとそのとき、水の底に、茫として、怪しい影のようなものが見えたのであります。
「なんだろう?」と、彼が、瞳をこらすと、破れた帆を傾けて、一そうの、難破船が、水の中を走っていたのです。
「あ、船幽霊だ!」と、叫ぶと、ぎょっとしました。
「なんだか、気味が悪いし、もう引き上げよう。」といって、わずか二、三びきしか釣れなかったたらをかごにいれて、兄は、家へもどってきました。
たらの色は、黒々として、大きな目玉が光っていました。娘は、その一ぴきを晩のさかなにしようと庖丁をいれました。