Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かいじんにいのる

海神に祈る

田中 貢太郎

Leggi 海神に祈る (かいじんにいのる) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.486 caratteri · 26 schermate

Aozora Bunko

これならもうすこし休んでおったら、癒ったかも判らなかった」

其処には総之丞がいた。総之丞は権兵衛に馬をすすめた事を思いだした。

「彼の時、馬にお乗りになったら、よかったかも知れませんよ」

「そうじゃ、馬に乗って往けば、そのうちに癒ったにきまっておる」

翌日になって権兵衛はまた出発した。そして、また浮津に往って彼の老人の家の前まで往った。総之丞は権兵衛の右側を歩いていた。

「此処でございましたよ」

権兵衛も頷いた。

「そうじゃ」

老人の家は其の朝は、まだ戸が開いていなかった。

「今日は、まだ起きておりませんよ」

総之丞は権兵衛の返事を聞こうとしたが、返事がないのでちらと見た。権兵衛の体は其の時よろよろしていたが、其のうちに倒れてしまった。

「一木殿、一木殿、また痺れでも」

権兵衛は仰臥になっていた。夜はもう白じらと明けていた。

「一木殿、御気分は」

権兵衛は眼を開けた。

「気分は何ともない」

「それでは、また気つけでも」

「いや、待て」

と云って権兵衛は眼をつむって何か考えるようにした。

「それでは、馬にお乗りになりますか」

「すこし考える事がある、気の毒じゃが、また戸板へ載せて引返してくれ」