Classici giapponesi con furigana
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かいなんき
海難記
久生 十蘭
Leggi 海難記 (かいなんき) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.628 caratteri · 56 schermate
英国に亡命した組は、ほとんどがみな持金を使いはたし、ウェスト・エンドの細民街のひどいところに住み、衣食に窮して紐売やヴァイオリンの流し弾きをしているようなものさえあった。一八一四年にナポレオンはエルバ島に流され、ルイ十六世の弟のプロヴァンス伯がルイ十八世となって王位にのぼり、亡命貴族はみな国外から呼び返され、人物払底の折柄で、思いもかけぬ高位高官に成上った。
ショオマレェもそういう亡命貴族で、フランスを逃げだしたときは二十五歳、ようやく見習士官になったばかりのときだったが、それから二十五年の歳月が流れて五十歳の坂を越していた。長い亡命生活の間、ショオマレェは時計直しの渡り職人になり、ひどい貧乏をしながら放浪していたわけだったので、海上勤務の常識すら記憶にとまっていなかったのである。このような人間に重大な任務を委託するのは、寛典に失する復古政府の軽率な態度に由来するものだが、ルイ十八世の世代はいわゆる「屑」の時代で、素質のいいフランス人はみな戦死するか追放されるかし、物の役に立つほどの人間は存在しなかったのである。
十九日の夕方、ラ・メデュウズはカナリー群島のテネリフ島で気紛れに沖がかりをしたので、やっとのことでレコォが追いついて来たが、ショオマレェはなんの連絡もとらずにまたもや単艦で出帆し、危険な接岸航路