Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ふかがわにょうぼう

深川女房

小栗 風葉

Leggi 深川女房 (ふかがわにょうぼう) di 小栗 風葉 (おぐりふうよう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.597 caratteri · 57 schermate

Aozora Bunko

夜は十二時一時と次第に深けわたる中に、妻のお光を始め、父の新五郎に弟夫婦、ほかに親内の者二人と雇い婆と、合わせて七人ズラリ枕元を囲んで、ただただ息を引き取るのを待つのであった。力ない病人の呼吸は一息ごとに弱って行って、顔は刻々に死相を現わし来たるのを、一同涙の目に見つめたまま、誰一人口を利く者もない。一座は化石したようにしんとしてしまって、鼻を去む音と、雇い婆が忍びやかに題目を称える声ばかり。

やがてかすかに病人の唇が動いたと思うと、乾いた目を見開いて、何か求むるもののように瞳を動かすのであった。

「水を上げましょうか?」とお光が耳元で訊ねると、病人はわずかに頷く。

で、水を含ますと、半死の新造は皺涸れた細い声をして、「お光……」と呼んだ。

「はい」と答えて、お光はまず涙を拭いてから、ランプを片手に自分の顔を差し寄せて、「私はここにいますよ、ね、分りましたか?」

「お前には世話をかけた……」

「またそんなことを……」とお光はハラハラ涙を零す。

「阿父さん……」

「阿父さんも皆お前の傍にいるよ。新造、寂しいか?」と新五郎は老眼を数瞬きながらいざり寄る。

「どうかお光の力になってやって……阿父さん、お光を頼みますよ……」