Classici giapponesi con furigana
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せいひんのしょ
清貧の書
林 芙美子
Leggi 清貧の書 (せいひんのしょ) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.061 caratteri · 36 schermate
真中の部屋はもちろん与一のアトリエともなるべき部屋であろうが、四枚の障子が全部廊下を食っているので、三ツの部屋の内では、一番そうぞうしい位置にあった。
与一は、この部屋に手製の額に入れた自分の風景画を一枚飾りつけた。あんまりいい絵ではない。私はかつて、与一の絵をそんなに上手だと思った事がない。それにひとつは私は、このように画面に小さく道を横に描くことはあんまり好きでないからかもしれない。「私は道のない絵が好きなんだけれど」そうも言ってみた事があるけれど、与一はむきになって、茶色の道を何本も塗りたくって、「君なんかに絵がわかってたまるもンか」と、与一はそう心の中で思っているのかも知れない。
七
山は静かにして性をやしない、水は動いて情を慰む、静動二の間にして、住家を得る者あり、私は芭蕉の洒落堂の記と云う文章の中に、このようにいい言葉があると与一に聞いた事がある。
そんなによい言葉を知っている与一が、収入の道と両立しない、法外もなく高い家賃で、馬かなんぞでも這入って来そうな、こんな安住の出来そうもない住家に満足している事が淋しかった。
台所の流しの下には、根笹や、山牛蒡のような蔓草がはびこっていて、敷居の根元は蟻の巣でぼろぼろに朽ちていた。