Classici giapponesi con furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Leggi 湖畔亭事件 (こはんていじけん) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 69.335 caratteri · 137 schermate
それは主として、私と宿の番頭とが申立てた、彼等の出立当時の風体に基づいて、街道筋の町々村々を尋ね廻った訳ですが、不思議なことには「洋服姿で、トランクを手にした者」という条件に当てはまる人物は、絶えて姿を見せないのでした。といって、その外の目印は、松永が肥え太った男で、鼻下に髭を貯えているという位のものですから、もし彼等が、トランクをどこかへ隠して、巧に変装をしてしまえば、人目にかからず逃げおおせることは、あながち不可能でもありません。
彼等の逃走の最大の邪魔物は、いうまでもなくあの目立ち易いトランクです。彼等は必ず、それを途中で人知れず処分したのに相違ありません。警察でもその点に気づいて、これもまた出来る限りは探索したのですが、やっぱり思わしい結果は得られませんでした。
それから数日の間というもの、村人を雇って、附近の山々は、申すに及ばず、湖水の底までも、殆ど遺憾なきまでに捜索されましたが(湖水の岸に近い部分は割合に水深も浅く、それに水が綺麗ですから、船を浮べて覗き廻りさえすれば、その底にあるものは手に取る様に見えるのです)依然として何の得る所もありません。