Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こはんていじけん

湖畔亭事件

江戸川 乱歩

Leggi 湖畔亭事件 (こはんていじけん) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 69.335 caratteri · 137 schermate

Aozora Bunko

しかし失望したことには、成る程、地面はすっかり堅くなっていて、たまに柔かな所があるかと思えば草が生えていたりして、明瞭な足跡などは一つも発見することは出来ないのでした。でも、私はあきらめないで、猶も湖水の岸を伝いながら、庭のはずれを目ざして進んで行きました。

すると、塀代りに庭を囲んでいる杉木立の中に、人影が見え、ハッと思う間に、それがこちらへ近づいて来ました。早朝のことではあり、こんな要もない場所に人がいようとは、思いもかけなかったものですから、私はそこへ立すくみ、何かその男が昨夜の曲者ででもある様に、おずおずと相手の挙動を眺めたものです。

併しよく見れば、それは怪しい者ではなくて、湖畔亭の風呂焚男三造であることが分りました。

「お早うございます。エヘヘヘヘ」

彼は私の顔を見ると、愚な笑顔で挨拶をしました。

「ヤア、お早う」

私は言葉を返しながら、ふと「この男が何か知っているかも知れない」という気がしたものですから、そのまま立去ろうとする三造を呼び止めて、何気なく話しかけました。

「湯が立たないので、ひまだろう。しかし大変なことになったものだね」

「ヘエ、困ったことで」