Classici giapponesi con furigana
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こはん
湖畔
久生 十蘭
Leggi 湖畔 (こはん) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.180 caratteri · 47 schermate
「陶が不埓を働いたから、手討ちにした」
と言った。
高木はエーッと息をひいて、顎のあたりを慄わせていたが、やがて眼を丸くして、
「不埓といって、どのような」
と痴な口をきいた。
「密通の現場を押えたから、殺してやった」
「相手は?」
「そんなことを俺が知るものか。これから東京検事局へ自訴して出るから、俺の弁護をして無罪にしろ」
高木は膝に手を置いて俯向いて考えていたが、しばらくすると如何にも当惑そうな顔で、
「サー、私には出来そうもありませぬ」
と答えた。
高木は旧藩士の伜で、米国の費府大学で状師の免状をとり、まだ若冠だが出来がよく、訴庭で法官と輸贏を争ってもヒケをとるような男ではないが、因循する性質で、大切な時を尻込して失敗ってばかりいる。かねがね遺憾に思っていたもンだから癪にさわって、
「なにをフーリッシな、貴様に出来ぬことがあるものか」
とキメつけると、高木は両手で頭を抱えこんで、
「いやア、私などには、これはよッぽどの難件です。成算がありませぬ」
「だから、それを相談しようというのだ。それとも、引受けられぬ事情でもあるのか」
高木は顔をあげて、
「ナーニ、そんなことがありますものか」