Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こはん

湖畔

久生 十蘭

Leggi 湖畔 (こはん) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.180 caratteri · 47 schermate

Aozora Bunko

山番が雨に逢った時の避難所だッたが、今は立寄るものもない。

二人は抱合いながら口措かずに喋言り合った。陶はどんなに俺を愛していたか、俺に嫌われていると思って、どれほど淋しい日を送っていたか、その淋しい日が、どれほど苦しかったか。

「だから、あなたのかわりに、あのひとに来てもらったンです。あの人に言いました。妾は奥平だと思って、あなたとナニするンだから、貴君もそのつもりになって、出来るだけ上手に真似をして下さいって。うまく貴方になってくれた時だけ、ナニしたのでした。いけなかッて? 妾はやッぱり操を穢しましたの」

と邪気なく俺の顔を見あげ、

「妾はそう思いません。なぜって、妾は貴方とばかり、ずウっといっしょにいたンですもの」

「それで、貴様の相手は誰だッたのだ」

陶はフンと鼻を鳴らして、

「これだけは、殺されても言うまいと思ってたンですけど、今なら申します。実は、高木だったンです」

「矢張り左様だったのか」

「知っていらしたの」

「死骸が湖から上った時、真青になッて飛んで来て、合掌したり念仏を唱えたり、平素にない振舞をするから、ハヽアと気がついた。あれ以来、高木は別荘番も女中も追出してしまって、広い別荘にたった一人で蟄居しているそうだが、大方、一人でキヤキヤしているのだろう。