Classici giapponesi con furigana
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ゆがしまのすうじつ
湯ヶ島の数日
宮本 百合子
Leggi 湯ヶ島の数日 (ゆがしまのすうじつ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 1903 caratteri · 4 schermate
十二月二十七日
十二月二十七日 湯ヶ島へ出立。
すっかり仕度が出来上ったが余り時間がない。俥でことこと行くよりはと、フダーヤ老松町の通へ空車を捕えに出た。早朝なのでなし。かえって、一台だけ来た人力車にのって先へ出かけ、自分二十分も待たされて出発。列車は十時五十分に東京駅を出るというのに、飯田橋で時計を見ると、十五分しかない。自働車にのりかえ、やっと車室に乗込んだら直ぐ発車という程度で間に合った。
隣席に一青年在り。サンデー毎日らしいものの小説を読む。ただ読むのではない。色鉛筆を片手に、無駄と思うところ(らしい)数行ぐるりとしるしをつけ、校正のようにトルと記入し、よいと思うところ(らしい)には傍線を附す。至極深刻な表情を保って居る。
修善寺より乗合自働車。女の客引が客を奪い合う様子、昔の宿場よろしくの光景なり。然し、どれも婆。
すっかり夜になり、自働車を降りて、更に落合楼に下る急な坂路にかかると、思いがけず正面に輪廓丸い二連の山、龍子の墨絵のようにマッシヴに迫り、こわい程遙か底に宿の小さい灯かげ、川瀬の響あり。十二夜の月を背負った山の真黒で力強い印象。目まいがした。