Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
まんかんところどころ
満韓ところどころ
Leggi 満韓ところどころ (まんかんところどころ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 74.601 caratteri · 148 schermate
二十九
風呂を注文しておいたら、用意ができたと見えて、向うの部屋で、湯の迸ばしる音が盛にする。靴を脱いで、スリッパアをつっかけて、戸を開けに掛ると、まだ廊下に出ないうちに給仕がやって来た。田中さんがいっしょにスキ焼を食べにいらっしゃいませんかと云う案内である。スキ焼の名はこの際両人に取って珍らしい響がした。けれども白状すると、毫も食う気にはならなかった。スキ焼って家で拵えるのかいと尋ねると、いえ近所の料理屋ですと云う。近所の料理屋はスキ焼よりも一層不思議な言葉である。ホテルの窓から往来を一日眺めていたって、通行人は滅多に眼に触れないところである。外へ出て広い路を岡の上まで見通すと、左右の家は数えるほどしか並んでいない。そうしてそれがことごとく西洋館である。しかも三分の一は半建のまま雨露に曝されている。他の三分の一は空家である。残る三分の一には無論人が住んでいる。けれどもその主人はたいてい月給を取って衣食するものとしか受け取れない構である。新市街という名はあるにしても、その実は閑静な寂れた屋敷町に過ぎない。その屋敷のどこにスキ焼を食わす家があるかと思うと、一種小説に近い心持が起る。