Classici giapponesi con furigana
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たきぐち
滝口
山本 周五郎
Leggi 滝口 (たきぐち) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.815 caratteri · 99 schermate
「あの男は弓をやるだろう」
「家中では五人のうちに数えられているそうです、しかしどこから見ておられたんですか」
「これで助かった」和尚は布施の金を掌でもてあそびながら、へらへらとそら笑いをした、「――これだけあれば塀が直せるだろう、このあいだの風でな、南側の塀が二十間も倒れおって」
益村安宅はいとまを告げた。徹心和尚は必要なときにいつでもつんぼになれる、自分の云いたいことだけは云うし、聞く必要のあることは聞くけれども、それ以外のことには決して耳をかさない。突然つんぼになり、どんなに大きな声を出しても、平気でしらをきりとおすのであった。
境内をぬけて石段にかかったとき、下から登って来るさえと会った。黒の法衣に白の頭巾をかぶってい、片手に白い山茶花を入れた閼伽桶を持っていた。僧形の彼女とじかに会うのは初めてであるが、岡野さえだということはすぐにわかった。
「暫くですね」と安宅が呼びかけた、ごく自然に声が出たので彼は自分でも意外だった、「お達者ですか」
「はい」さえは眼を伏せた、「――あなたも御壮健で」
言葉はそこで切れた。言葉をしまいまで云わないようなことは、昔はなかった。