Classici giapponesi con furigana
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たきぐち
滝口
山本 周五郎
Leggi 滝口 (たきぐち) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.815 caratteri · 99 schermate
男は四十がらみの町人で、黒の紋服に袴、白足袋をはいていた。雨戸を閉めた家の中からは、酒宴でもしているらしく、賑やかに笑ったり話したりする声が聞えて来た。
――なにか祝いごとでもあるのだろう、と安宅は思った。この男は酒くせが悪いので放りだされたんだな。
いずれ知人の集まりだろうのに、こんなめにあわされるのはよっぽど悪い酒に相違ない。それにしても紋服袴という姿で、雪と泥の上に坐りこみ、わけのわからないことを喚きたてているようすは、気の毒というよりもむしろ滑稽であり、愛嬌があるという感じで可笑しかった。
「面白いですか」と安宅のすぐうしろで声がした、「それともあなたの知り人ですか」
振り向いてみると芳村伊織だった。羽折もなしの素袷、素足に雪駄ばきで、ふところ手をしてこっちを見ていた。跟けて来たなと思いながら、安宅は黙ってあるきだした。
「あなたに話がある」と云いながら芳村はついて来た、「そこまで来てくれませんか」
「あるきながら聞こう」と彼は云った。
「いい場所があるんですよ、このすぐ向う裏ですがね」そう云いながら、芳村はすばやく安宅の前へまわった、「てまはとらせません、ついそこだからつきあって下さい」