Classici giapponesi con furigana
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たきぐち
滝口
山本 周五郎
Leggi 滝口 (たきぐち) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.815 caratteri · 99 schermate
た口ぶりでした」
風のぐあいだろうか、長屋のうしろのほうで聞える川波の音が、まえより少し高くなったように思えた。おりうはそのことは云わなかった。さむざむと肌にしみるような川波の音を聞きながら、安宅はそう思いだした。芳村を殺そうと思ったが、刃の光を見て恐ろしくなったとは云った。けれども心中しようと云い迫った、などとは話さなかった。待てよ、そこになにかあるぞ。この芳村は言葉を飾るような男ではない、またこの場合そんな必要は少しもないだろう。とすれば、おりうが心中を迫ったというのは事実だと信じていい。ではどうしておりうは二人で死ぬ気になったのか、――そこだな、そうだと安宅は考えた。稲毛という麹町のその料理屋で芳村と出会ってから、おりうは自分の躯の中で初めて、女らしい感情がめざめたようだと云った。こうしてひところは芳村の顔を見るだけで、からだの奥になまなましい変化がおこる、とさえも云っていた。それがいつからか嫌いになり、芳村と聞くとうんざりしたという。どこかで糸が切れたのだ。二人をつないでいた糸が、どこかで、なにかの理由で切れたのだ。なにかの理由で、と安宅は考えていた。