Classici giapponesi con furigana
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みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
Leggi 澪標・落日の光景 (みおつくし) di 外村 繁 (とのむらしげる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.889 caratteri · 268 schermate
決して酒の上の暴言と言い逃れることはできない。こんな悪魔に憑かれたような女を振り切るためには、私もやはり悪魔を呼ぶより他はなかったのである。
陽は大分西に廻ったようである。きららな光線が斜に差し入り、原稿用紙の上に磨ガラスの花模様を映している。外には微風もないらしく、障子の枝影も動かない。先刻まで、綾子が庭を掃いていたようであるが、今はその落葉の音も止んだ。
静かである。時間が進行を停止したのではないかと思われるほど、静かである、とも言えなくもない。が、逆に、あまり静かであると、却って時間が極めて静かに過ぎ去って行くのが判るようでもある。
素子は今のところでは何の異状もなく、先ずは平穏な日日を送っている。が、そんな安らかな一夜の微酔が、却って不意に、あの恐怖を呼び覚したのではなかろうか。私もあの時は、毒をもって毒を制するつもりであったのであろう。すると、あの恐怖は潜在意識となって、いつも私の頭の中にも潜んでいるもののようである。
しかし今日は至って穏かな日である。障子には明るく、晩秋の陽があたっている。気温も暖く、微風さえもない。そんな静けさの中を、極めて緩い速度で時が経って行くのは、障子に映っている枝影が徐徐にところを移すので判る。