Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みおつくし

澪標・落日の光景

外村 繁

Leggi 澪標・落日の光景 (みおつくし) di 外村 繁 (とのむらしげる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.889 caratteri · 268 schermate

Aozora Bunko

しかし私の声も聞えないらしい。たつはやっと下り初める。上る時と同じく脚を屈伸して下りて来る。地上近くになると、たつは脚を伸したまま、滑り下りた。たつは気負立った風に、顎を突き出して言う。

「九居瀬が見えたわ」

「九居瀬てなんや」

「知らんのか、わしの在所やないか。愛知川の上や」

「愛知川やったら、川並山へ登らな見えやへんわ」

しかしその翌朝から、たつは母に叱られ通しである。まず言葉遣いが悪いといって叱られる。

「目上のお方に、『来やはった』とはなんや。『来なさった』とか、『お出でやした』とか言うもんや」

また行儀が悪いといって叱られる。

「女のくせに、なんや、ほないに立ちはだかって」

しかしたつはあまり悲しそうな顔はしない。むしろ何のために叱られているのか、解せない風である。それがまた母の小言の種になる。

「ほんまに横着な、蛙の面に水とは、このことや」

しかしたつは使い歩きは素晴しく早い。その点だけは、至ってせっかちな母の気に入ったようである。

「たつは、はい帰って来たのかいな。手紙は確かに入れて来たのやろな」

「うん、ちゃんと入れて来たが」

「ほれ、また『うん』