Classici giapponesi con furigana
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みおつくし
澪標・落日の光景
外村 繁
Leggi 澪標・落日の光景 (みおつくし) di 外村 繁 (とのむらしげる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.889 caratteri · 268 schermate
「お客はんどこどすの」
「近くだ」
この女給は決して利口そうではない。上品などというものとは、更に縁遠い。しかし幸にもそれほど饒舌ではないらしい。
中年の商人風の男が入って来る。私の隣の席に坐るなり、相手の女給を笑わしている。よほど猥褻なことを言っているらしい。「知らん、ほんまにいけずやわ」とか、「よう言わんわ。いやらしやの」とか言っては、相手の女給は声を上げて笑っている。
しかし私は殆ど気にならない。むしろこんなカッフエの片隅で、自分を失いながら、泥酔の底に沈んで行けるなら、どんなに気楽だろう、と思ったりする。が、意識は却って妙に冴え、少しも酔いを発しない。やはりこの場違いの雰囲気に、小心な私はより厳重に自分を自分の中に密閉してしまったからであろう。すると、今夜の行動も至って馬鹿らしく思われて来る。急に激しい「虚」を感じる。
不意に、ジャケツの男が声を発した。見ると、男はカップを口に銜え、歯をむいて、噛み砕いた。私は恐しくなり、急いで席を立った。
ある日、二人の生徒が「三高劇研究会」のビラを貼っている。その一人は色の浅黒い、いかつい顔をしていて、見るから不興気な表情である。